【対象議会】2026年6月定例会 産業建設常任委員会(閉会中所管事務調査)
議題:今後の所管事務調査テーマの選定及び観光振興について
質問委員:産業建設常任委員会委員(木山義仁委員・福山権二委員・副委員長 ほか)
1. 議論の前提となる市の現状と取り組み
産業建設常任委員会は、前年度から「農業振興計画の策定および多様な担い手への支援等について」を所管事務調査として調査を進めてきた。令和7年度に第3次農業振興計画が策定されたことや、関連する補助金制度の内容がある程度固まったことを受け、この調査事項は6月定例会での委員長報告をもって一区切りとすることが確認された。
副委員長がまとめた報告書案では、新しい第3次農業振興計画が「戦略型(攻めの農業)」と「地域継承型(守る農業)」の二本立てで構成されている点を一定評価した上で、次の3点を提言としている。
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提言項目
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内容
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1
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農林振興公社における作業委託の推進と実効性の確保
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2
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確実な情報伝達と手続きの簡略化・簡素化
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3
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現場の声の継続的な聴取
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一方、商工観光部では新たな観光事業計画を策定中であること、林業分野では今年度から新たな「マスタープラン」がスタートすることが説明された。観光振興計画については、具体的な運営面を地域DMO(観光地域づくり法人)に委ねる流れが強まっているとの指摘があった。また、高野の温泉施設や東城の道の駅トイレなど、老朽化した観光関連施設について、執行部側で大規模改修の必要性を検討しているとの情報も共有された。
2. 議員が提示した現場の現状と調査結果
木山義仁委員は、市民と語る会など市民との対話の場で、庄原市内の観光資源を有効活用し観光客を呼び込む施策を求める意見が多く出ていると紹介した。
福山権二委員は、観光振興を議論すること自体は重要としつつ、人口減少問題への対応として産業をどう活性化させるかという庄原市(市長)の方向性が見えないと指摘した。具体的には、市長が就任時に公約した林業活性化策(庄原実業高校への林業科新設構想を含む)がその後どのように具体化されたか見えていないとし、農業振興については一定整理されたが、担い手の確保が実際に進むかは楽観できないとの現場感覚を述べた。
別の委員は、前期の観光振興計画がすでに期限切れとなっており、新しい計画づくりが全体的に地域DMOに委ねられる方向にあるため、DMOと商工観光課が一体となって協議していく必要があると指摘した。
さらに別の委員は、住民票人口だけで地域の実態を判断すべきではなく、実際の往来人口(車の交通量等)は数十年前と比べて大きく増加しているとの研修等での知見を紹介し、「関係人口・交流人口」に着目し、来訪者からの経済効果(消費)に注目すべきだとの考えを示した。
3. 議員の質問と市への訴えの要点
委員会は、農業振興調査の終了に伴い、閉会中の継続調査事項として新たなテーマを選定する必要に迫られた。継続中の「鳥獣被害対策等について」に加えるテーマとして、観光振興、都市計画(庄原コンパクトシティ・プラス・ネットワーク)、林業(マスタープランの検証)、支所・自治振興区のあり方など複数の案が出されたが、最終的に所管の範囲や実効性を踏まえて絞り込みが行われた。
委員長は、都市計画(コンパクトシティ・プラス・ネットワーク)については具体的な進展がまだ乏しいこと、支所のあり方は総務部局の行政経営改革大綱の範疇であり産業建設常任委員会の所管から外れること、自治振興区も所管が既に他委員会に移っていることを踏まえ、これらを次期調査テーマの対象から除外する考えを示した。林業についても、マスタープランが今年度始動したばかりであるとして、新規テーマとして掘り下げるのではなく、その進捗を注視する扱いにとどめる方向が確認された。
4. 議論が活発になった場面(重要)
福山権二委員は、人口減少問題を巡り長い発言を行った。定例記者会見で市長が「これからも市の活性化を図りたい」と述べていることについて「何がしたいのかよく分からない」と述べ、観光による交流人口拡大の効果や、AIの進展により将来的に市職員や支所機能が縮小しかねないこと、市民と語る会で「今後の自治のあり方」が繰り返しテーマとなっている現状に言及した。委員長が「なかなか出しにくい感じ、フリーですよ」と発言を促す場面もあり、福山委員はさらに、地域への権限移譲(予算配分の自由度)が進んでいないのではないかとの懸念や、市長が公約した林業活性化策の具体化状況が見えないことへの疑問を重ねて述べた。
テーマの絞り込み段階でも議論が押し問答になった。委員長が「観光振興について」とするには対象が大きすぎるとして、より的を絞った表現を模索したのに対し、福山委員は「観光と言ってもかなり広い問題で、絞り込むのはなかなか難しい」と述べ、テーマを大きく設定せざるを得ないとの立場を崩さなかった。最終的に委員長が、関係人口・観光交流施設・市の有形財産の今後のあり方を組み合わせる形で「観光振興計画および市内観光施設のあり方等について」という文言に収れんさせた。
5. 委員会としての結論と今後の方向性
【結論】:農業振興に関する所管事務調査は6月定例会での委員長報告をもって終了する。次期(閉会中継続)の所管事務調査テーマは、継続中の「鳥獣被害対策等について」に加え、新たに「観光振興計画および市内観光施設のあり方等について」を設定する方向で一致した。
【今後の対応】:テーマの正式な文言は事務局と委員長が調整の上、本会議における所管事務調査の議決で正式決定する。都市計画(コンパクトシティ・プラス・ネットワーク)、支所・自治振興区のあり方、林業(マスタープランの内容そのものの検証)は、いずれも今回のテーマからは除外し、林業マスタープランの進捗については委員会として注視するにとどめる。
【最終的な委員会のスタンス】:産業建設常任委員会は、観光振興を切り口としつつ、関係人口・交流人口の視点やDMOとの連携、老朽化した観光施設(道の駅・温泉施設等)のあり方を絡めて調査する方針で合意したが、人口減少対策全体の方向性や林業活性化策の具体化については、福山委員から市の姿勢が見えにくいとの指摘が出されたまま、明確な結論には至っていない。