2026年6月定例会で、堀内富夫議員(さとやま未来クラブ)は「周遊滞在型観光戦略の推進」について質問しました。是枝裕和監督の映画『箱の中の羊』ロケ地として西城町が注目を集める中、一過性で終わらせない仕組みと比婆山エリアの目玉化を第3期計画に明確に位置づけるよう求めました。「かさべるで」のネット予約導入や地域コンシェルジュの育成も提案。しかし市は「第3期観光振興計画(令和8年度中策定)で対応する」との回答を繰り返しました。映画ブームを活かせるか、計画の中身が問われています。
令和8年度のリーディングプロジェクトとして「観光の基盤産業化の推進」が掲げられ、第3期観光振興計画と観光消費額増加戦略が令和8年度中に策定される予定。映画『箱の中の羊』(是枝裕和監督・カンヌ国際映画祭出品)は令和8年5月29日に全国ロードショー。昨年10月に西城町の熊野の大トチ(国指定天然記念物)で撮影。市はHPをリニューアルし、広島フィルムコミッションと連携した巡回パネル展を実施予定。比婆山連峰はモンベルとの提携あり、比婆道後帝釈国定公園(県所管)内にある。吾妻山ロッジは現在解体中で仮設トイレを設置中(苦情発生中)。かさべるで(比婆山近くの宿泊施設)は合宿利用が中心で電話予約のみ。第2期計画でローカルガイドツアーを庄原DMOが実施し好評だったが新ガイドの獲得には至らなかった。国の第5次観光立国推進基本計画(令和7年3月閣議決定)では観光産業強靭化・関係人口創出・観光DX・地方誘客促進が重点。
映画は「旬のもの」でいずれブームは去るとして、来訪者の再訪意欲と周遊につながる仕組みが不可欠だと指摘した。撮影に際して植物・樹木の専門家・伊藤先生が尽力したことを紹介し、「庄原市に在住する専門家がいること自体も観光資源」として発信すべきと提案した。谷口議員が取り上げた「昔の価値を知っている人がだんだんいなくなる」という問題と共通する知識継承の危機感を示した。吾妻山ロッジ解体により仮設トイレに苦情が発生していることを具体的に報告。コンシェルジュについて「語源はフランスの巡礼者案内」と示し、専門職ではなく地域に根ざした「ちょっとした案内ができる人」を想定して提案した。庄原市は合併20周年を経ても旧1市6町の個性が根強く残り、DMOのHPでは各地域へのアクセス動線が見えにくいと指摘した。
【かさべるでのネット予約デジタル化を問う場面】「登山の誘客をするのであれば、ネット検索で引っかかってネット予約ができる今風の仕方が必要」と明確に要求した。観光振興課長は「費用や維持管理経費も考えないといけない。諸課題を整理し、課題や効果を検証しながら研究をしてまいりたい」と応じるにとどまった。議員はその後「手法に関しては吉川議員が質問してくれると思うのでそこに回す」と他議員への連携を示しながら次の質問に進んだ。
【コンシェルジュ発掘の難しさへの踏み込み】「ボランティア的な方がたくさん出てくればよいが、現状ではなかなか難しい」という率直な回答に対し、議員は「副業として少しでも収入が得られる状況を設計すれば、少しはやってみようかという方も出てくる」と具体的な解決策を示した。さらにシビックプライドの醸成という非金銭的動機を組み合わせることで「やってくれよと言われる前に自分から紹介したい」という人材を育てる発想を提示した。観光振興課長は「そういった方を今後発掘していくようにいきたい」と応じた。