2026年6月定例会で、吉川遂也議員(未来のたね)は「歴史文化資源の観光活用と公共施設のスマートロック化」について質問しました。来訪者の歴史文化イメージが4.5%にとどまる現状を受け、第3期観光振興計画で歴史文化資源を戦略の柱に位置づけることと、文化財保存活用地域計画との同時着手を求めました。「物語を食べる」ナラティブ観光として歴史と観光消費を結びつける戦略も提案しました。スマートロック化については市長が「具体的検討を進める」と答弁した唯一の前向きな項目となりました。歴史文化が第3期計画の重要な柱となるかどうかが今後の焦点です。
令和8年度の施政方針では、ピースフルA事業のうち1102万円が第3期庄原市観光振興計画の策定等に充当される。第2期計画はSWOT分析において「神話などの歴史文化が豊富」を本市の強みに位置づけていたが、来訪者の「神話などの歴史文化が豊富」イメージは4.5%にとどまり、戦略の柱は里山資源に置かれた形で歴史文化資源は基本政策として明確に位置づけられなかった。第3期計画では観光消費額の増加と観光の基盤産業化を目指しており、今年度中に策定が完了する予定。公共施設の鍵管理は施設ごとに管理形態が異なるが、原則として開館時間内での対応としている。第3期行政経営改革大綱の策定方針において、デジタル技術を活用した公共施設のスマート化が「今後の取り組みの1つ」として既に提案されている。県内では6市町が文化財保存活用地域計画の文化庁長官認定を取得済みで、面積最大の庄原市には大きな可能性があると議員は評価した。
吉川議員は、本市が比婆山伝説・たたら製鉄遺産・大仙遺跡群・中世山城群という重層的な歴史文化資源を有しており、縄文時代から続く文化資源が点在していることを指摘した。「1時間・2時間庄原に来て帝釈峡を見て帰るだけでなく、なぜ縄文人がここで生活できたのかという深い視点を持った観光客が増えてきている」と述べ、深く・長く関わる観光の形を提唱した。東城の要害桜では、のぼり旗の設置・イノシシ被害への柵設置が、文化財保護の観点と観光振興の観点の間に落ちてしまい、予算が回ってこないという具体的な事例を示した。比婆牛については、江戸時代から続く文脈と、日本の和牛登録制度を始めたきっかけが庄原市の家畜センター(元・国立施設)にあるという歴史的事実を挙げ、「物語(ナラティブ)を食べる体験価値」が現代の観光客に響くことを論じた。スマートロックについては全国100箇所以上の自治体が導入済みである事実と、5月29日の気象庁による土砂災害警戒情報の運用変更(レベル4での3時間先予測発表)を挙げ、避難所の迅速開設という新たな必要性を示した。
【比婆牛の物語を語る場面】「スーパーで宮崎牛を食べるのと、庄原に来て比婆牛を食べるのと何の違いがあるか。味は似たり寄ったりかもしれない。でも庄原の家畜センターが和牛登録制度を始めたきっかけを作り、その種が全国・世界に広がった——という歴史を踏まえた上で食べる体験は根本的に違う。物語を食べる美味しさが今の消費者には響く」。産業振興部長は「資源の言われやストーリー性を踏まえて評価していく」と応答。議員が具体的な事例を挙げながら歴史文化観光の方向性を市と共有した場面。
【教育委員会のプロジェクトチーム参加を問う場面】吉川議員は「観光は観光、文化財保護は文化財保護のことだけを考えるのではなく、トータルの視点で指揮を取っていただきたい」と述べた。産業振興部長が「現時点で教育委員会は入っていない。必要があれば…」と回答したことに対し、議員は「必要があればではなく」という姿勢で問い続け、最終的には「新しい観光振興計画の策定に大変期待して見ておきたい」と締めた。