2026年6月定例会で、木山義仁議員(さとやま未来クラブ)は「中東情勢悪化に伴う農業への影響及び安全対策」について質問しました。石油・農業資材の高騰と品薄が続く中、飼料高騰対策支援金の拡充・堆肥利用促進支援の要件緩和・農業安全装備品への補助拡大を求めました。市は飼料高騰対策支援金(156経営体・6月補正)を実施しつつ、中長期的な構造転換(スマート農業・自給飼料・有機肥料)を両輪で進める方針を示しました。農作業事故の「啓発だけでは不十分」という指摘には農林振興公社の受託拡大で対応するとしましたが、新規支援策の具体的な約束はありませんでした。
中東情勢の悪化・国際紛争の長期化により、世界的に石油価格が高騰するとともに、肥料・農薬などの農業資材価格は継続的に上昇し過去最高額を更新し続けている。石油から生成されるナフサ不足が深刻化し、農業分野ではハウスマルチ・出荷用袋等の生産資材の品薄という影響が出ている。市内の農業においても農業機械の燃料・肥料・農薬の価格高騰が続いており生産活動に大きな影響が生じている。
これらの対応として6月補正予算で飼料高騰対策支援金事業を実施した。令和7年4月〜令和8年3月の配合飼料・粗飼料の購入量に対し1tあたり5,000円を支援(上限200万円)。対象は和牛繁殖119・肥育2・乳牛24・養豚4・養鶏7の計156経営体。
第3期農業振興計画では、スマート農業技術の導入・6次産業化・自給飼料の増産・有機肥料への転換・販路拡大などを掲げる。堆肥利用促進支援として年間10t以上購入した利用者に購入経費の1/3またはバラ売り1tあたり850円・袋詰め1袋42円のいずれか低い額を補助している。水田活用の交付金で耕畜連携助成を市単独で継続している。
農業安全対策については、市内での農業における死亡事故が直近5年間で3件発生。広報紙への安全啓発記事の掲載・農家へのチラシ配布・HPを活用した情報伝達を行っている。農業振興計画では農作業のアウトソーシング(農林振興公社・民間)の必要性を記載している。
【農業物価統計調査(農林水産省):令和2年→令和8年4月】
| 区分 | 価格変動 | 備考 |
|---|---|---|
| 畜産飼料(コスト) | 144% | 最も上昇率が高い |
| 農業生産資材全体(コスト) | 130% | 過去最高額を更新中 |
| 米(販売価格) | 210% | 昨今の米高騰を反映 |
| 畜産物(販売価格) | 123% | コスト(144%)に届かず |
| 野菜(販売価格) | 113% | コスト転嫁が最も困難 |
6月19日にJA全農が7月期(7・8・9月)の配合飼料価格を4月期から1tあたり3,700円値上げすると発表(日本農業新聞が中東情勢の影響と報道)。農業生産現場の経営環境はさらに悪化する見通し。
【農作業事故データ】農林水産省:令和6年全国農作業事故死亡者数287人、10万人あたり14.8人(建設業の約3倍)。熱中症死亡は令和5年37人→令和6年59人と急増。JA共済連(令和8年6月11日公表)によると農作業事故は年間約9万件(前回分析時の7万件から増加傾向)に上ると推計。農業機械に起因する事故は重症化・重大化しやすい傾向が確認されている。本市の農業従事者高齢化率83%。
【労災保険義務化】労災保険法の改正により農林の小規模個人経営の事業への暫定措置が廃止される見通し。令和13年を目途に全ての農業形態で労働者を1人でも雇用すれば労災保険への加入が義務化される。
【堆肥利用支援の要件緩和をめぐる攻防】議員が「購入要件10t以上の緩和、または補助単価の引き上げを」と求めたのに対し、農業振興課長は「要件緩和は現時点で予定なし」と明言。議員が「前向きな検討を要望する」と強く求め続けた。補助単価の引き上げについては「検討の余地はある」との一部前向きな回答を引き出した場面があった。
【農業安全対策「啓発だけでは不十分」という指摘】農業振興課長が「効果的な啓発を各機関と連携して進めていく」と繰り返したのに対し、議員は「啓発だけでは避けることはできないのではないか」と問い返し、具体的な対策(農林振興公社の受託拡大・安全装備品支援)への転換を繰り返し求めた。農林振興公社のアウトソーシングについては「ニーズ調査をして体制づくりを進めたい」と一歩踏み込んだ答弁を引き出した。