木山議員の質問

20266月定例会で、木山義仁議員(さとやま未来クラブ)は「中東情勢悪化に伴う農業への影響及び安全対策」について質問しました。石油・農業資材の高騰と品薄が続く中、飼料高騰対策支援金の拡充・堆肥利用促進支援の要件緩和・農業安全装備品への補助拡大を求めました。市は飼料高騰対策支援金(156経営体・6月補正)を実施しつつ、中長期的な構造転換(スマート農業・自給飼料・有機肥料)を両輪で進める方針を示しました。農作業事故の「啓発だけでは不十分」という指摘には農林振興公社の受託拡大で対応するとしましたが、新規支援策の具体的な約束はありませんでした。



令和8年(2026年)6月定例会 一般質問

中東情勢の悪化等に伴う農業への影響
及び安全対策について

👤 質問議員:木山義仁 🏛 会派:さとやま未来クラブ 📋 全2大議題
🌾 市の現状と取り組み
  • 農業資材価格の継続的上昇で過去最高額を更新中
  • ナフサ不足でハウスマルチ・出荷袋等が品薄になる影響が発生
  • 6月補正予算で飼料高騰対策支援金事業を実施(156経営体対象)
  • 第3期農業振興計画でスマート農業・6次産業化・自給飼料増産を掲げる
  • 堆肥利用促進支援(年間10t以上購入者に購入経費の一部を補助)を実施
  • 農作業事故死亡者:直近5年間で3件。広報・チラシ等で啓発活動中
📊 議員が提示したデータと問題提起
  • 農業生産資材全体:令和2年比130%(畜産飼料は144%)に高騰
  • 販売価格:米210%も野菜113%・畜産物123%にとどまり、コスト転嫁できていない
  • JA全農:7月期の配合飼料を1tあたり3,700円さらに値上げと発表(6月19日)
  • 全国農作業事故死亡者:年287人、10万人あたり14.8人(建設業の約3倍)
  • 熱中症死亡:令和5年37人→令和6年59人に急増
  • 本市の農業従事者高齢化率:83%。農作業事故は年間9万件と推計
🎯 今回の議論のポイント
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コスト高騰なのに販売価格に転嫁できない
農業資材は最大144%まで高騰しているのに、野菜・畜産物の販売価格上昇は13〜23%にとどまる。この「価格差」を埋める構造的支援が求められている。
🔄
輸入依存から脱却──自給飼料・有機肥料への転換
海外情勢に左右されない農業体質への転換が急務。堆肥利用促進支援の要件緩和は「現時点では予定なし」も、補助単価の引き上げは「検討の余地あり」と答弁。
⚠️
高齢化率83%の農業現場で「啓発だけ」でいいのか
農作業事故は年間9万件と推計。議員が求めた農林振興公社による作業受託拡大・安全装備品の取得支援はいずれも「調査・研究から」の段階にとどまった。
📌 大議題① 中東情勢の悪化等に伴う農業への影響
💬 木山義仁 議員 ── Q①石油・資材価格高騰による農業への影響
中東情勢の悪化や国際紛争の長期化により、石油価格の変動は燃料のみならずナフサなどの石油製品全体に波及し、市民生活・各種産業に大きな影響が生じている。こうした状況を踏まえ、石油や関連資材の不足・価格高騰による本市の基幹産業である農業への影響について、市長の見解を伺う。
🏛 八谷市長
肥料・農薬などの農業資材価格は継続的に上昇し、過去最高額を更新し続けている。ナフサ不足が深刻化し農業分野にもハウスマルチ・出荷袋等の生産資材の品薄という影響が出ている。本市においても農業機械の燃料・肥料・農薬の価格高騰が続いており、引き続き関係団体と連携しながら価格動向・供給状況・生産現場の実態を注視していく。
農業資材全般への影響を認識・注視
📈 農業物価統計調査(農林水産省):令和2年→令和8年4月の価格変動
144%
畜産飼料
130%
生産資材全体
210%
米(販売価格)
123%
畜産物(販売価格)
113%
野菜(販売価格)
※畜産飼料144%に対し、畜産物の販売価格は123%。コスト上昇分を価格に転嫁できていない構造的課題が明確
💬 木山義仁 議員 ── Q②生産者の経営安定化に向けた課題認識と取り組み
農林水産省の統計で畜産飼料は144%・農業生産資材全体は130%に高騰しているのに、野菜113%・畜産物123%でコスト上昇分を販売価格に転嫁できていない。さらにJA全農が7月期の配合飼料を1tあたり3,700円値上げすると発表。生産資材価格高止まり・さらなる不安定が想定される中、生産者の経営安定化に向けた課題認識と取り組みを伺う。
🏛 八谷市長
コスト転嫁が困難な市場取引という現実を踏まえ、即効性のある支援(飼料高騰対策支援金)と、中長期的な経営の合理化・安定化の両輪で取り組む。第3期農業振興計画では、スマート農業による生産性向上・6次産業化による付加価値向上・販路拡大・多様化で収益性改善を図る。国・県の支援制度の積極活用を促進しつつ、必要な支援策についても研究検討を進めていく。
即効支援と中長期構造転換の両輪で対応
💬 木山義仁 議員 ── Q③飼料高騰対策の事業内容・対象経営体数
生産者からは飼料対策に「ありがたい」との声がある一方、「いつまで支援が続くのか」「さらに値上がりするのでは」という不安の声も多い。6月補正で措置した飼料高騰対策支援金事業の具体的な事業内容・対象事業者・経営体数を教えてほしい。
🏛 農業振興課長
令和7年4月〜令和8年3月の配合飼料・粗飼料の購入量に対し、いずれも1tあたり5,000円を支援。上限額は合算で200万円。対象は全畜産経営体で、和牛繁殖119・肥育2・乳牛24・養豚4・養鶏7の計156経営体
156経営体が対象・上限200万円
💬 木山義仁 議員 ── Q④自給飼料の増産・自給肥料の利用促進強化
生産者の不安払拭・担い手確保のため、海外依存からの脱却に向けた農産業の構造転換が必要ではないか。自給飼料の増産と自給肥料(堆肥等有機肥料)の利用促進強化について見解を伺う。
🏛 農業振興課長
自給飼料増産は農業振興計画に政策として位置づけている。飼料用トウモロコシの作付けを研究してきたが、鳥獣被害・強風対策等の課題で苦戦している。今後も研究を継続する。肥料については、化学肥料から堆肥・液肥などの有機肥料への転換を農業振興計画に「環境に配慮した農業の推進」として位置づけている。
農業振興計画に明記も自給飼料増産は鳥獣被害等で苦戦
白熱した場面 ― 堆肥利用支援の要件緩和をめぐり、具体的な対応を繰り返し求めた
💬 木山義仁 議員 ── Q⑤堆肥利用促進の要件緩和・補助単価の引き上げ
化学肥料から有機肥料への転換実現には堆肥のさらなる活用が必要。堆肥利用促進支援の購入要件(10t以上)の緩和、または補助単価の引き上げにより、さらなる活用拡大が進むのではないか。見解を伺う。
🏛 農業振興課長
助成要件は大量堆肥利用の大型農業者に効果的に利用量を増加させることが目的であり、現時点での緩和の予定はない。補助単価については堆肥価格の動向を勘案しながら「検討の余地はある」。水田活用の交付金の耕畜連携助成は国→県が廃止後も市単独で継続しており、9年度の制度見直し後も継続できるよう進めていく。
要件緩和:現時点では予定なし 補助単価:検討の余地あり
📌 大議題② 農業の安全対策・事故実態・労災保険義務化
💬 木山義仁 議員 ── Q⑥農業事故の実態と安全対策
農作業事故死亡者は全国で年287人・10万人あたり14.8人と建設業の約3倍。熱中症死亡も令和6年に59人へ急増。本市の農業従事者高齢化率は83%で、農地の分散・長距離移動・単独作業・傾斜地など農作業事故が発生しやすい条件が重なる。本市における農業事故の実態と安全対策の取り組みについて市長の見解を伺う。
🏛 八谷市長
市内での農業における死亡事故は近年5年間で3件発生。広報紙・チラシ・HP等で安全啓発を実施中。農業従事者の高齢化・地形的条件による事故発生リスクに加え、慣れや油断・猛暑下の熱中症対策不足も課題。家族経営・個人農家が多く自ら作業管理を行う形態が大部分であり、啓発内容・手法の見直しと安全対策機材・装備の実態調査が必要と認識している。
直近5年間で3件の農業死亡事故を公表
💬 木山義仁 議員 ── Q⑦農林振興公社の農作業受託拡大で重篤事故を防ぐ
農作業事故はJA共済連の推計で年間9万件(前回7万件から増加傾向)に上る。啓発だけでは不十分ではないか。特に高齢農業者が危険を伴う農作業に従事すること自体を減らす手立てが必要。農林振興公社による農作業受託の強化・拡大で、農作業事故の重篤化・重大化を防げるのではないか。
🏛 農業振興課長
農業振興計画の中で農作業のアウトソーシングが必要との認識があり、農林振興公社・民間を合わせた受け手の機能整備を検討している。まずニーズを調べた上で、ニーズに応えられる作業体制づくりを進めていきたい。
ニーズ調査を実施した上で体制づくりを検討
💬 木山義仁 議員 ── Q⑧農業安全装備品の取得支援・既存事業メニューへの追加
林業では安全器具の取得支援が事業メニュー化されている。農業においてもヘルメット・熱中症防止の空調服・アシストスーツなどの安全装備品の取得支援が必要ではないか。既存の戦略型成長農業推進事業や地域承継型農業支援事業の補助対象に含めることも検討してほしい。
🏛 農業振興課長
安全対策に必要な機材・装備については、有効なものの活用啓発をまず進めていく。購入支援については実態を調査した上で必要かどうか検討する。アシストスーツについては現在実用試験中のものもあり価格も高く、活用の有効性・効果的な使用ができるかをまず研究していく。その後の支援はその研究結果を踏まえた対応となる。
実態調査・有効性研究が先で、支援は「その後の話」
💬 木山義仁 議員 ── Q⑨労災保険義務化の周知
労災保険法の改正により、令和13年を目途に全ての農業形態で労働者を1人でも雇用すれば労災保険加入が義務化される見通し。これに関する市内農業者への周知と今後の取り組みを教えてほしい。
🏛 農業振興課長
労災保険の窓口は市ではないが、農林水産省・厚生労働省が作成したチラシも含めて、毎年2〜3月に開催する農業者説明会などの機会を活用してパンフレットの配布・周知を行っていく。
農業者説明会でのパンフレット配布で対応
📋 最終構図のまとめ
農業資材高騰対策
飼料高騰対策支援金(156経営体・上限200万円)を6月補正で実施済み。構造転換(スマート農業・6次産業化・自給飼料・有機肥料)は中長期的に農業振興計画で対応。
堆肥支援の拡充
要件緩和(10t以上)は「現時点で予定なし」。補助単価の引き上げは「堆肥価格動向を踏まえて検討の余地あり」。水田活用の耕畜連携助成は市単独で継続方向。
農業安全対策
農林振興公社の農作業受託拡大・安全装備品の取得支援はいずれも「ニーズ調査・有効性研究から」の段階にとどまった。労災保険義務化は農業者説明会で周知予定。
📅 今後の注目スケジュール
令和8年(2026年)7月〜9月期
JA全農が配合飼料を1tあたり3,700円値上げ。農業者へのさらなる経営圧迫が懸念される。
令和9年度〜
水田活用の交付金制度見直し。耕畜連携助成を市単独で継続できるかが注目点。
令和8〜9年度(当面)
農林振興公社のニーズ調査実施・農業安全装備品の実態調査・有効性研究を実施する方向。
令和13年(2031年)目途
労災保険法改正により、全ての農業形態で労働者を1人でも雇用すれば労災保険加入が義務化される見通し。
➕ さらに詳しい背景や調査結果(詳細レポート)を見る
【対象議会】令和8年(2026年)6月定例会 一般質問
【議題】中東情勢の悪化等に伴う農業への影響及び安全対策について
【質問議員】木山義仁(里山未来クラブ)
1. 議論の前提となる市の現状と取り組み

中東情勢の悪化・国際紛争の長期化により、世界的に石油価格が高騰するとともに、肥料・農薬などの農業資材価格は継続的に上昇し過去最高額を更新し続けている。石油から生成されるナフサ不足が深刻化し、農業分野ではハウスマルチ・出荷用袋等の生産資材の品薄という影響が出ている。市内の農業においても農業機械の燃料・肥料・農薬の価格高騰が続いており生産活動に大きな影響が生じている。

これらの対応として6月補正予算で飼料高騰対策支援金事業を実施した。令和7年4月〜令和8年3月の配合飼料・粗飼料の購入量に対し1tあたり5,000円を支援(上限200万円)。対象は和牛繁殖119・肥育2・乳牛24・養豚4・養鶏7の計156経営体。

第3期農業振興計画では、スマート農業技術の導入・6次産業化・自給飼料の増産・有機肥料への転換・販路拡大などを掲げる。堆肥利用促進支援として年間10t以上購入した利用者に購入経費の1/3またはバラ売り1tあたり850円・袋詰め1袋42円のいずれか低い額を補助している。水田活用の交付金で耕畜連携助成を市単独で継続している。

農業安全対策については、市内での農業における死亡事故が直近5年間で3件発生。広報紙への安全啓発記事の掲載・農家へのチラシ配布・HPを活用した情報伝達を行っている。農業振興計画では農作業のアウトソーシング(農林振興公社・民間)の必要性を記載している。

2. 議員が提示した現場の現状と調査結果

【農業物価統計調査(農林水産省):令和2年→令和8年4月】

区分 価格変動 備考
畜産飼料(コスト) 144% 最も上昇率が高い
農業生産資材全体(コスト) 130% 過去最高額を更新中
米(販売価格) 210% 昨今の米高騰を反映
畜産物(販売価格) 123% コスト(144%)に届かず
野菜(販売価格) 113% コスト転嫁が最も困難

6月19日にJA全農が7月期(7・8・9月)の配合飼料価格を4月期から1tあたり3,700円値上げすると発表(日本農業新聞が中東情勢の影響と報道)。農業生産現場の経営環境はさらに悪化する見通し。

【農作業事故データ】農林水産省:令和6年全国農作業事故死亡者数287人、10万人あたり14.8人(建設業の約3倍)。熱中症死亡は令和5年37人→令和6年59人と急増。JA共済連(令和8年6月11日公表)によると農作業事故は年間約9万件(前回分析時の7万件から増加傾向)に上ると推計。農業機械に起因する事故は重症化・重大化しやすい傾向が確認されている。本市の農業従事者高齢化率83%。

【労災保険義務化】労災保険法の改正により農林の小規模個人経営の事業への暫定措置が廃止される見通し。令和13年を目途に全ての農業形態で労働者を1人でも雇用すれば労災保険への加入が義務化される。

3. 議員の質問と市への訴えの要点
  • 石油・農業資材の不足・価格高騰による農業への影響についての市長見解
  • コスト転嫁が困難な現状における資材価格高騰分と販売価格の「差」を埋める支援の必要性
  • 飼料高騰対策支援金の事業内容・対象経営体数の公表を求める
  • 海外依存からの脱却に向けた農業の構造転換として、自給飼料の増産と有機肥料利用促進の強化
  • 堆肥利用促進支援の事業要件(10t以上)の緩和または補助単価の引き上げ
  • 農作業事故の安全対策さらなる強化──「啓発だけでは不十分」という問題提起
  • 農林振興公社による農作業受託の強化・拡大で高齢農業者の重篤事故を防ぐ
  • 農業安全装備品(ヘルメット・空調服・アシストスーツ)の取得支援制度の創設と、既存事業メニューへの組み込み
  • 労災保険義務化(令和13年目途)の農業者への丁寧な周知
4. 議論が白熱した場面(重要)

【堆肥利用支援の要件緩和をめぐる攻防】議員が「購入要件10t以上の緩和、または補助単価の引き上げを」と求めたのに対し、農業振興課長は「要件緩和は現時点で予定なし」と明言。議員が「前向きな検討を要望する」と強く求め続けた。補助単価の引き上げについては「検討の余地はある」との一部前向きな回答を引き出した場面があった。

【農業安全対策「啓発だけでは不十分」という指摘】農業振興課長が「効果的な啓発を各機関と連携して進めていく」と繰り返したのに対し、議員は「啓発だけでは避けることはできないのではないか」と問い返し、具体的な対策(農林振興公社の受託拡大・安全装備品支援)への転換を繰り返し求めた。農林振興公社のアウトソーシングについては「ニーズ調査をして体制づくりを進めたい」と一歩踏み込んだ答弁を引き出した。

5. 市の答弁と今後の方向性 ─ 結論
【農業資材高騰対策】
回答:飼料高騰対策支援金(156経営体・1t5,000円・上限200万円)を6月補正で実施済み。即効支援と中長期構造転換(スマート農業・6次産業化・自給飼料・有機肥料)の両輪で対応。
今後の対応:国・県の支援制度の積極的な活用促進。必要な支援策の研究検討を進める。
最終スタンス:コスト転嫁が困難な市場構造を認識した上で、構造転換を中長期で進める姿勢。具体的な新規支援策の約束はなかった。
【堆肥利用促進支援の拡充】
回答:事業要件(10t以上)の緩和は現時点では予定なし。補助単価は堆肥価格動向を踏まえ「検討の余地あり」。水田活用の耕畜連携助成は市単独で継続方向。
最終スタンス:要件緩和は否定、単価引き上げのみ可能性を示した。
【農業安全対策・労災保険】
回答:農林振興公社の農作業受託拡大はニーズ調査を実施した上で体制づくりを検討。安全装備品の取得支援は実態調査・有効性研究が先で「支援はその後の話」。労災保険義務化は農業者説明会でのパンフレット配布で周知予定。
最終スタンス:安全対策のほとんどが「調査・研究」段階にとどまり、具体的な新規支援の約束はなかった。農林振興公社の受託拡大については一定の方向性が示された点がポイント。
ウェルセレクション庄原 〜選択と決断が未来を創る〜

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