2026年6月定例会で、横路政之議員は「物価高騰等地域経済対策及び難病患者等の避難支援」について質問しました。国の地方創生臨時交付金第2弾を活用した支援策が今議会で可決された一方、横路議員は中小企業・小規模事業者の継続的な対策強化と、難病患者への個別避難計画の実効性・医療的ケアが必要な患者への具体的支援体制を質しました。市は「国・県の動向を注視しながら必要な対策を講じる」と答弁しました。物価高騰への即効支援と中長期対策の両立、そして医療的配慮が必要な避難弱者への支援拡充が今後の焦点です。
テーマ①:物価高騰による地域経済対策・市独自支援の可能性・国県への要望
テーマ②:難病患者等の福祉避難所・個別計画・停電対策・医療連携
本市では今議会で物価高騰対策支援地方創生臨時交付金(第2弾)を活用した支援策を可決した。前回の第1弾に続く措置である。国においては中東情勢対応予備費として総額2兆5000億円の補正予算を成立させており、広島県では庄原商工会議所に中東情勢影響事業者向けの特別相談窓口を設置している。市内事業者のほぼ全てが中小企業・小規模事業所であり、原材料・エネルギー価格の高騰や消費の停滞が経営に影響を与えている。市としては、各部署において商工団体・農業団体・福祉関係団体との情報共有・意見交換を継続し、窓口対応や現地訪問での聞き取り調査も実施している。難病患者等の避難支援については、市内11の福祉施設と協定を締結し、令和3年の災害対策基本法改正に伴い指定福祉避難所として指定した。個別避難計画は民生委員が要支援者を訪問調査し、本人同意の上で名簿登録・計画書を作成する仕組みで毎年更新している。非常用電源として可搬型発電機123機、PHV・EV公用車13台を配備している。
横路議員は、物価高騰の影響が「毎週状況が変わる」ほどリアルタイムで変化していることを指摘した。全国では廃業が増え始めている状況に言及し、庄原市の中小企業・小規模事業者も「じわりじわりと圧力が押し寄せている」と述べた。また、商工団体経由の情報収集では拾いきれない「声を上げられない市民・事業者」の困り事を把握する必要性を説いた。庄原市の公式LINEを活用した意見募集を具体的に提案した。難病患者の避難に関しては、受講した「難病患者と防災」講演で学んだ知見として、①症状・支援内容・災害の種類によって対応が異なること、②「協定を結んでいても誰をどこへどのように避難させるかが整理されていない」事例が全国に多いことを紹介した。また西日本豪雨の際に3日間の避難所生活を経験したことも語り、現実感をもって備えの重要性を訴えた。
横路議員が市に求めた主な内容は次の通りである。①地域経済の実態を「リアルタイムで」把握する手段を拡充すること(公式LINEの活用を含む)。②「国・県を待つしかない」という受け身のスタンスから、市独自でできることを積極的に探ること。③今後経済状況がさらに悪化した場合を見越して、国・県へ早急かつ具体的に支援拡充を要望すること。④市長に現在の庄原市の地域経済および市民生活への危機感と、今後の見通しを直接語ってもらうこと。難病患者避難については、⑤個別避難計画が「名簿のみ」に終わらず実際の行動計画として機能していることの確認、⑥停電時の電源確保の実態把握、⑦医療機関・福祉施設と連携した実際の訓練の実施を求めた。
地域経済対策で最も論戦になったのは市の「スタンス」をめぐる場面である。横路議員が「もう金がないので国・県の支援を待つしかないというのはどうか」と繰り返し問うたのに対し、市側は「大規模な独自支援は財政的に困難。庄原市固有の課題を見極めて必要な対策を講じる」という答弁を維持した。議員が「第3弾はどういう状況になったらやるのか」と判断基準を問うても「財源の確保状況や経済状況を見て慎重に判断する」という回答にとどまった。最後に議員が「市長に危機感と見通しを語ってほしい」と要求したが、市長は「緩やかに回復する景気の中で各事業体から状況を聞いて判断している」と答えるにとどまり、深刻な危機感を前面に出した発言はなかった。難病患者避難では「全員は受け入れられない」という答弁を聞いた横路議員が「それで大丈夫と市民に言えるか」と押し返し、危機管理課長が「第2開設避難所も含めて対応する」と補足する場面があった。
【回答】
地域経済状況把握:「多様な手法で把握。SNS・公式LINEの活用を検討する」。独自大規模支援:「財政的に困難。庄原市固有の課題を見極めて対策を講じる」。国・県への要望:「市内事業者の実情をニーズに沿って要望する」(具体的内容・時期は未定)。福祉避難所受け入れ:「11施設・優先順位制・全員受け入れは物理的に不可」。個別避難計画:「災害種別ごとの避難先設定済み・具体的行動計画あり」。停電対策:「発電機123機・PHV/EV13台を機動的配備」。連携訓練:「図上訓練実施。実際の移動を伴う訓練は施設ごとに難しい場合もある」。
【今後の対応】
令和8年7〜8月の市民と語る会や議員の地域活動を通じて地域の実情を把握し、国・県への要望内容を精査する。公式LINEでの意見募集については「手法を検討する」段階にとどまる。難病患者避難については個別避難計画の継続更新・福祉施設との連携強化・出前トークによる防災啓発を継続する。
【最終的な市のスタンス】
地域経済対策については「国・県の支援の最大活用」「市固有課題の見極め」「危機感は持っているが大規模独自支援は困難」という姿勢が一貫していた。難病患者等の避難支援については、個別避難計画の整備・電源確保・福祉避難所指定など制度的な整備は進んでいるが、実際の移動を伴う訓練・全員の受け入れ体制など「有事の実効性」には課題が残るとの認識を議員が示した。