2026年6月定例会で、五島誠議員(ネクスト)は「商工振興の方向性と庄原ファンクラブの拡充」について質問しました。市内事業所が15年間で22%減少する中、五島議員は「まちづくり会社」の設立と「理念型条例」の制定を提案しましたが、市はまちづくり会社は「意見交換段階」、条例制定は「しない」と答弁しました。庄原ファンクラブについては年会費導入・高校生の全員自動入会など改革案を示しましたが、市は現行枠組みを維持する方針です。「延長線上にない新たな発想と戦略」を掲げながら、具体的な施策実現への道筋はまだ示されていません。
令和8年度の機構改革により、これまでの商工観光課が「商工振興課」と「観光振興課」に分割され、商工振興課の中にイノベーション推進係が新設された(1課2係体制)。イノベーション推進係は産学官連携・起業促進・企業誘致を担う。市内事業所数は平成18年から令和3年の15年間で516所(22%)減少し1834事業所となり、地域商店街の衰退と活力の低下につながっている。本市の商工振興の方針は第3期長期総合計画の第2の柱「将来に希望がつながっていく仕組みづくり」に基づく。庄原ファンクラブは令和5年3月設立・年会費無料・会員3600人超。設立当初は40〜60代が中心だったが、現在10〜30代が全会員の約3割を占めるまで若い世代が増加。今年度からひばサポ(地域困りごと解決プラットフォーム)を新規展開し、参加者が希望日・希望作業を選べる柔軟な関与の仕組みを構築中。今年度のファンクラブ会員数目標は5000人。
議員はRESAS(地域経済分析システム)のデータをAIと一緒に分析し、売上から原材料を差し引いた付加価値額では製造業が庄原市の最大シェアを占めることを指摘。一方で内部循環に「穴の開いたバケツ」(漏出)があり、外貨獲得と漏出防止の両方が必要だと論じた。一次産業(農業・林業)が盛んな庄原市は丸太・生肉のような素材輸出ではなく6次産業化により10倍の付加価値を生み出す必要があるとした。補助金頼みの行政支援から脱却し、既存DMOを取り込んだまちづくり会社・地域商社のような民間主導の稼ぐ主体の創設が必要と主張。12年前(平成26年6月議会)にも理念型条例の提案をし「前向き」との答弁を受けたが未制定のまま。広島県は平成29年に中小企業・小規模企業の振興条例を制定済み。庄原ファンクラブについては、現状では芸能人で言えば「SNSの登録者」に過ぎないと問題提起した。
【12年越しの理念型条例論争】「12年前にも提案し、前向き答弁をいただいたのに制定されていない。代替わりの今こそ市長のメッセージとして内外に示す理念型条例が必要だ」と議員が重ねて問いただした。市長は「本市では理念型の基本条例は制定しない」と明言。「事業者の皆様の声を把握し長期総合計画に基づいて支援する」と述べるにとどまった。議員はこれ以上繰り返さないとしながらも「またご一考いただければ」と要望して締めた。
【庄原ファンクラブ拡充──多数の提案に対する打ち切り】議員が「高校卒業生の全員入会」「ファンクラブ限定ふるさと納税」「米の優先購入権」「多様な会員区分」「まちづくり会社の若者部門での運営」など多数の具体策を次々と提案した。政策課長は「様々なご意見いただきありがとうございます」とした後、個別提案への回答を「時間もありますのでここら辺でさせていただきます」と打ち切る場面があった。議員は「非常に真摯に検討いただいている」と一定の評価をしつつ、「さらにしっかりと提案をさせていただいて、また一緒に議論をさせていただければ」と次回以降への継続を示した。