2026年6月定例会で、前田智永議員(会派未来のたね)は「地域防災のあり方及びピースフル事業」について質問しました。庄原市の消防団員は1376名、うち女性はわずか4名(約0.3%)で国目標の5%を大幅に下回っています。前田議員は機能別消防団員制度の創設・女性団員の大幅増・処遇改善を求めるとともに、ピースフル事業(移住・教育・観光・ブランディング)の進捗と具体的成果も質しました。市は消防団の機能別制度について「令和9年度での導入に向けて取り組む」と一歩踏み込みました。防災力の実質的な底上げが問われています。
テーマ①:女性消防団・機能別団員制度 / 防災士ネットワーク構築
テーマ②:コンパクトプラスネットワーク / 高野・総領のまちづくりビジョン
令和8年4月1日時点で庄原市の消防団員数は1376名(前年から微減)であり、うち女性は4名(約0.3%)にとどまる。国の「女性版骨太の方針2025」では女性消防団員の割合を「当面5%」にする目標が掲げられており、本市は大幅に下回っている。機能別消防団員制度は未整備の状態が続いている。昨年より「団員ファースト」を掲げ、競技方式の訓練や旧態依然の慣例行事の見直しを進め、負担軽減を通じた入団促進を図っている。市内の防災士は105名が資格を取得しており増加傾向にある。高野地域では各自治会に防災士を1人以上配置し、令和8年度に危機管理課職員も参加した意見交換会を実施、備蓄品の共有・有事の行動確認などを行った。避難所には支所・本庁の統括班とタブレットを配備し、避難情報・資材情報の共有体制を整備している。備蓄品は「地域間で貸し借り」ではなく「庄原市全体から配分する」考え方で運用している。ピースフル(リーディングプロジェクト)のコンパクトプラスネットワークについては、令和8年度よりプロジェクトチームを設置して検討を開始した(2ヶ月経過)。ビジョン検討業務委託費として1000万円の予算を計上している。高野地域・総領地域は自治振興区が主体となって地域の将来ビジョンを策定し、市に要望書として提出している。
前田議員は市民と語る会での聴取として、①個人情報の壁で避難所間の避難者情報が共有されず安否確認が遅れた事例、②民生委員が作成している要支援者リストを実動できる自主防災組織と平時に共有する仕組みの要望、③廃校舎・跡地を避難所・防災拠点として活用してほしいという複数地域からの声、④地域マネージャー(子育て・福祉・防災各担当)が防災の取り組みにも横断的に参加してほしいという声を紹介した。消防団の女性参画について、長野県松本市が令和7年3月に平成13年から運営してきた女性消防団部を廃止し、性別・年齢問わず誰でも参加できる「支援隊」に転換した先進事例を提示した。ピースフルに関しては、高野地域が何度ものワークショップ・コンサルへの依頼を経て地域ビジョンを策定してきた経緯があり、「何だったのか」となることを強く懸念した。また「全地域を今年度回ろうとするなら、職員の通常業務への影響も考慮が必要」という現実的な視点も示した。
前田議員が求めた主な内容は次の通りである。①女性・機能別消防団の整備:基本団員の使命と誇りを尊重しながら、補完的役割として「女性が活動できる場」と「多様な人材が参加できる機能組織」を整備すること。②防災士ネットワークの構築:高野モデルを各地域に展開し、資格取得後の活動機会を充実させること。③コンパクトプラスネットワークのスケジュール可視化:「いつ・誰が・どのように進めるか」を明示すること。④高野・総領のビジョンの尊重:住民が長年かけて作ったビジョンを土台として活かしながら具体化すること。⑤部局を超えた横断的防災取り組みの推進:縦割りの壁を超えて地域マネージャー等も防災に参画できる仕組みをつくること。
コンパクトプラスネットワークに関して、前田議員が「高野・総領のビジョンはここまでやってきたから続きを進めるのか、それとも初めから議論し直すのか」と問い質す場面があった。経営戦略課長は「先行したビジョンを生かした形で住民との話し合いの場に入っていく」と答弁し、議員が「それはビジョンをさらに磨きをかけるという認識でよいか」と確認すると、課長は「ビジョンの中に市が入っていき、行政・民間・住民の役割分担を明確化しながら具体化する」と応じた。議員が強く求めた「地域の汗が無駄にならないようにしてほしい」という訴えに対して、市側は「敬意を表する」「生かしていく」という姿勢を示した。
【回答】
女性・機能別消防団:「慎重な検討が必要」(具体的制度設計の時期は示されず)。防災士ネットワーク:「高野モデルを継続・他地域への展開を検討」。コンパクトプラスネットワークのスケジュール:「今年度全地域を訪問・コンサルと共に回る。7〜8月よりは遅れる見込み」。高野・総領ビジョン:「モデル地域として位置づけ、ビジョンを生かして具体化する」と明言。
【今後の対応】
①令和8年7〜8月の市政懇談会でブランディング説明・コンパクトについても意見交換。②委託業者決定後、コンサルと共に全1市6町を訪問してワークショップを実施。③女性消防団・機能別制度は消防団幹部との協議を継続しながら検討。④防災士ネットワークは高野モデルを継続し他地域展開の可能性を探る。
【最終的な市のスタンス】
地域防災・コンパクトプラスネットワークのいずれにおいても、市は重要性・方向性を認識し積極的に取り組む姿勢を示している。一方で具体的なスケジュール・制度設計については「検討中」の段階が多く、今後の進捗が注目される。高野・総領ビジョンについては「ゼロからやり直さない」ことを明言したことが重要な確認事項となった。