2026年6月定例会で、福山権二議員(市民の会)は「島根原発事故時の避難計画及び受け入れ体制」について質問しました。庄原市は広島県から最大6583名の被災者受け入れを義務づけられており、マニュアルを策定済みです。しかし福山議員は「複合災害(豪雪・豪雨と同時発生)に本当に機能するか」「十分な体制と言えるか」と繰り返し迫りました。市長は「私の責任においてやっていく」と答弁しましたが、「十分できる」という明言は避けました。原発再稼働に反対決議を持つ市議会と、受け入れを求められる市の立場のはざまで、市民への周知と実効性ある体制整備の強化が問われています。
島根原子力発電所において事故が発生した場合、島根県と広島県との協定に基づき、県内22市町が人道的見地および相互扶助の観点から避難者の受け入れを分担する体制が定められている。庄原市は広島県からの要請を踏まえ「原子力災害時における広域避難にかかる避難経由所・避難所運営マニュアル」を策定済み。令和6年4月に受け入れ対象人数を変更(最大6583名)する改正を行った。これは国の防災基本計画等の修正に伴うもので、本市の受け入れに影響を及ぼす他の修正はないことを島根県への確認で把握済み。令和5年度には自治振興区を始めとする避難所施設・避難経由所の管理者を対象に個別訪問を実施し、マニュアルを示して具体的に説明を行った。有事の際は通常業務とは全く別の防災体制を準用し、統括班・避難所対策等の役割分担を設けて対応する。令和8年度は体制の考え方を「現場重視」に大幅見直し済み。
福山議員は複数の具体的な事実を示して受け入れ体制の実効性に疑問を呈した。点検中に島根原発内で使用する器具の取り違えが発覚し、これを受けた鳥取県知事が「聞いてない、やめちまえ」と公式発言したことを取り上げ、「想定外」という言い訳で事故を片付ける体質を批判した。能登半島地震の際に「あそこに原発があれば大災害になっていた」という総括を紹介し、島根半島の地理的条件との類似性を指摘。松江市民と中国電力の間では避難計画の「実効性がない」とする裁判が進行中であることも示した。復興庁のデータとして、福島原発事故後も現在なお全国47都道府県で2万7000人が避難継続中であることを提示し、事故が起きた場合の甚大さを訴えた。また施設別の受け入れ人数(庄原自治振興センター366名・3小学校303名・西城運動公園806名・川北小学校400名)を具体的に示し、その場合の市民生活への影響を問題提起した。前回(令和7年12月定例会)に続いて今回も同テーマで質問しており、継続的に問い続けている姿勢を示した。
【「市長、絶対できますよと言えますか」の場面】福山議員が市長に直接「自信をもって言えますかね」と問い続けた場面は今回の質疑の核心。市長に代わって危機管理課長が「全力を尽くす」と答弁し、総務部長が「マニュアルに基づいて取り組む」と繰り返した。副市長も「英知を結集して気概を持って臨む」とまとめたが、誰も「絶対できる」「十分だ」とは言わなかった。福山議員は「『これでやるしかない』と『これで十分だ』はちょっと乖離がある」と的確に指摘した。最終的に市長は「私の責任においてやっていく」と答弁したが、「十分」の言明には踏み込まなかった。
【「複合災害の場合もできてるわけですか」の場面】「豪雪も豪雨災害も地震災害もないという風にしとかんと、複合的に起こったらもうどうにもならない。そういうことを想定してほんまに庄原市長これができるとお考えですか。私はできないと思っているんです」と踏み込んだ。危機管理課長は「本市の住民の避難が優先。島根県・広島県と連携して他市町への移送も想定」と答えたが、具体的なリソース確保には言及がなかった。