令和8年6月議会 一般質問の概要


WELLSELECTION 庄原 / 議会レポート
令和8年(2026年)第3回定例会 一般質問
令和8年6月 一般質問
全14議員 総評レポート
質問日:6月22日・23日・24日 | 質問議員:14名 | 質問項目:30項目以上
14
質問議員数
3
質問日数
30+
質問小項目数
6
主要テーマ分類
📋 総評:この定例会を一言で言うと

令和8年6月定例会の一般質問は、「決断の時」を迫る場面と「検討継続」の繰り返しが交錯した定例会でした。JR芸備線問題が最大の焦点として複数議員から問われ、11月の協議会方針案提示に向けて緊張感が高まっています。一方、観光振興・ブランディング・まちづくりといった中長期課題については、「第3期計画」や「大綱策定」を軸に議論が先送りされる傾向が見られました。執行部の答弁は全体的に「検討します」「研究します」が目立ち、具体的な財政措置や期限を示した答弁は少数でした。市民生活に直結する物価高騰・農業支援・防災・介護については、現行制度の枠内での対応が強調されました。

🗂 テーマ別 質問分類と議論の概要
最重要テーマ 🚂 JR芸備線・地域交通 堀井慎一朗議員・國利知史議員
📌 議員の主な問い
  • 実証事業A・Bのデータをどう分析・評価するか
  • 三次~広島間の機能強化策(JR西提案)が再構築協議会に与える影響は
  • 11月の方針案に向け、市はどう主張するか
  • 存続への「強い意志」を具体的に示せ
🏛 執行部の答弁
  • 「定量的データ+定性的価値の総合評価」を主張継続
  • 「存続に向け強い意思を持って臨む」(市長)
  • 費用負担の現実的議論が進んでいることも認識
  • 具体的な財政措置・新手法への踏み込みは限定的
⚡ 注目ポイント: 令和8年11月に再構築協議会から「鉄道存続かバス転換か」の方針案が提示予定。この定例会が事実上の最終盤の議論となった。両議員とも「どちらの方向に行くにしても重い決断が必要」という認識を共有した場面が印象的だった。
複数議員 🏔 観光振興・ブランディング・歴史文化 堀内富夫・吉川遂也・松森潤平・五島誠 各議員
📌 議員の主な問い
  • 映画ロケ地・比婆山・帝釈峡を「面」でつなぐ周遊戦略は
  • 歴史文化資源(比婆山伝承・たたら・城山群)を第3期観光計画に位置づけよ
  • 文化財保存活用地域計画の同時策定の合理性
  • 「庄原市=○○」というブランドの核をいつ定めるか
  • インナーブランディング(市民自身の誇り)の視点
🏛 執行部の答弁
  • 文化財保存活用計画の同時策定は「困難」と回答
  • 歴史文化の観光計画への位置づけは「第3期計画策定過程で整理」
  • ブランドの核は「今まさに知恵を絞っている段階」(未定)
  • インナーブランディングの重要性は認識・強化意向あり
  • 具体策は令和8年度中策定のシティプロモーション構想に委ねられた
⚡ 注目ポイント: 4名もの議員が観光・ブランディングを問うたことは、市民の関心の高さを反映している。しかし具体策は令和8年度中に策定予定の「第3期観光振興計画」に収束しており、その計画の中身が問われることになる。
政策方針 🏘 まちづくり・地域自治・支所改革 岡野茂・前田智永・五島誠 各議員
📌 議員の主な問い
  • 「協働」から「共創」へ——理念転換を具体化せよ
  • 支所を「地域共創プラットフォーム」に変えよ
  • 自治振興区への指定地域共同活動団体制度の活用を
  • コンパクト・プラス・ネットワークのスピード感
  • PEACE-fullの意思決定プロセスを可視化せよ
🏛 執行部の答弁
  • 「協働の理念は変わらない」としながら支所機能見直しは検討
  • 指定地域共同活動団体制度は「選択肢の一つ」として提示
  • 令和8年度中に「まちの未来予想図と大まかなスケジュール」を提示と市長が明言
  • 大綱策定(9月)後に具体的体制・予算権限を検討
⚡ 注目ポイント: 令和8年9月策定予定の「行政経営改革大綱」が多くの議論の「答え合わせ」の場となっている。支所機能・自治振興区・地域共創の具体像は大綱策定後に明らかになる見込み。
生活・産業 🌾 農業・物価高騰・地域経済 木山義仁・横路政之 各議員
📌 議員の主な問い
  • 中東情勢悪化による農業資材高騰への対策は
  • 高齢化率83%・農作業死亡事故数全国最多水準への対応は
  • 物価高騰で苦しむ中小企業・小規模事業者への市独自支援は
  • 地域経済の状況把握と国・県への要望体制は
🏛 執行部の答弁
  • 飼料高騰対策支援金(6月補正・156経営体対象)を実施済み
  • 農安全対策は「実態調査・研究が先」で即時支援の約束なし
  • 市独自の大規模支援は「財政的に困難」と回答
  • 「庄原市固有の課題を見極め対策を講じる」にとどまる
⚡ 注目ポイント: 農業従事者の高齢化率83%・農作業事故死亡者数が建設業の約3倍という深刻な現状が明らかになった。安全対策支援については「調査・研究段階」にとどまり、具体策の提示は次定例会以降となる見通し。
市民安全 🛡 防災・避難・安全確保 前田智永・横路政之・福山権二・堀井慎一朗 各議員
📌 議員の主な問い
  • 女性消防団・機能別団員の組織体制づくりを
  • 防災士ネットワークのプラットフォーム構築を
  • 難病患者・医療的ケア者への福祉避難所・個別計画の実情は
  • 島根原発事故時・6583名の受け入れ体制は本当に機能するか
  • 児童・生徒のスクールバス安全と欠席確認体制は
🏛 執行部の答弁
  • 女性消防団は「慎重な検討が必要」(時期未定)
  • 防災士ネットワークは高野モデルを継続・他地域展開検討
  • 福祉避難所11施設指定・全員受け入れは物理的不可と明言
  • 原発受け入れは「マニュアルに基づいて全力を尽くす」——「十分か」への明確回答なし
  • 発電機123機・PHV/EV13台を確保済みと報告
⚡ 注目ポイント: 島根原発事故時の受け入れ計画については、福山議員が「市長はこれで十分だと宣言できるか」と繰り返し問うたが、市長・副市長・各部長とも「マニュアルに沿って全力を尽くす」という答弁にとどまった。「十分か」という問いへの直接回答は最後まで示されなかった。
社会保障 💙 介護・福祉・孤独孤立・ペット問題 谷口隆明・近藤久子・松本みのり 各議員
📌 議員の主な問い
  • 第10期介護保険料の引き下げに準備基金を活用せよ
  • 帝釈峡雄橋の通行止め(最短でも令和10年度)の早期解除を
  • 国の介護保険法改正(地域支援事業化)への危機感は
  • 孤独孤立対策の重層的支援体制整備事業を早期事業化せよ
  • ペットの多頭飼育崩壊を防ぐ届け出制度の導入を
🏛 執行部の答弁
  • 介護保険料は「準備基金の活用を視野に適切な設定を検討」(引き下げは明言せず)
  • 雄橋解除は最短でも令和10年度中——7月に講演会開催予定
  • 孤独孤立対策は「令和8年度に事業化の方向で検討中」(具体像は未明示)
  • ペット届け出制度は「市独自では多くの課題あり」で否定的
⚡ 注目ポイント: 帝釈峡雄橋の長期通行止めは観光への打撃が続く。介護保険料については準備基金の大幅増加(数千万円から億円規模へ)の背景と、次期計画への反映が焦点。
📋 全14議員 質問・答弁一覧
#
議員名
質問テーマ
答弁ステータス
1
近藤久子
孤独・孤立対策(重層的支援体制整備)/田園文化センター施設課題・借地問題/郵便局との連携(共創のまちづくり)
検討中
2
岡野茂
「共創のまちづくり」への理念転換/支所のあり方(地域共創プラットフォーム)/自治振興区の今後(指定地域共同活動団体)/庄原版コンパクト・プラス・ネットワーク
大綱後に具体化
3
木山義仁
中東情勢・国際紛争による農業資材高騰影響と対策/農業安全対策(農作業事故・熱中症・高齢化率83%)
調査・研究段階
4
國利知史
JR芸備線について——実証事業の評価と11月方針案に向けた市の主張・存続への強い意志表明
11月に焦点
5
五島誠
商工振興(イノベーション推進係・理念型条例・キャリア教育連携)/庄原ファンクラブの運営改善(年会費・若者向け運営体制)
漸進的改善
6
堀井慎一朗
JR芸備線再構築協議会における市の基本姿勢(機能強化策・実証事業評価)/通学区域広域化に伴う児童・生徒の安全確保(スクールバス・欠席確認・貸切バス選定基準)
11月に焦点
7
横路政之
物価高騰等による地域経済対策(中小企業・小規模事業者支援)/災害時における難病患者等の避難支援体制(福祉避難所・個別計画・電源確保)
制度整備済み
8
谷口隆明
第10期介護保険事業計画策定(準備基金活用・保険料設定・国の法改正動向)/帝釈峡雄橋観賞ルートの早期復旧と今後の観光利活用方針
計画策定中
9
前田智永
地域防災のあり方(女性消防団・機能別団員・防災士ネットワーク)/リーディングプロジェクト「PEACE-full」——コンパクト・プラス・ネットワークのスケジュール可視化
検討段階
10
松本みのり
ペットの多頭飼育崩壊を未然に防ぐ取り組み——届け出制度の新設と関係部署横断連携体制の整備
市独自は困難
11
堀内富夫
観光資源を「面」でつなぐ周遊・滞在型観光戦略——映画ロケ地活用・比婆山エリア周遊拠点化・地域コンシェルジュ育成・観光消費循環の仕組み
第3期計画へ
12
吉川遂也
歴史文化資源を活用した第3期観光振興計画策定・文化財保存活用地域計画の同時策定提案/スマートロック・オンライン予約による公共施設鍵管理の効率化
スマートロック前向き
13
福山権二
島根原子力発電所事故発生時の避難計画——受け入れ6583名の体制の実効性・市長の責任ある宣言・自治振興区への周知状況
マニュアル遵守
14
松森潤平
庄原ブランディングの方向性——インナーブランディング(市民の誇り)の重要性・「庄原市=○○」というブランドの核の設定・シティプロモーション構想の策定
構想策定中
📊 執行部答弁の傾向分析
多数
「検討します」「研究します」
具体的な期限・数値・財政措置を伴わない答弁が多く見られた。特に農業安全対策・孤独孤立対策・女性消防団・ペット届け出制度などで顕著だった。
2本柱
「大綱(9月)」と「第3期計画(年度内)」への集約
まちづくり・支所改革・観光振興・ブランディングに関する多くの質問への回答が、今年度策定予定の2つの計画に集約される形となった。計画の質が問われる。
明言なし
「財政的に困難」「市独自では課題多い」
市独自の大規模支援策について「財政的に困難」とする答弁が複数。物価高騰対策・農業安全・ペット対策など、市民生活に直結する課題ほど財政制約が障壁となっていた。
🔍 この定例会で浮き彫りになった庄原の現状
🚂 JR芸備線
2024年に協議会設置、2026年11月に方針案提示予定というタイムラインが明確に。「存続か転換か」の重い決断を迫られる最終局面に入っている。バスへの転換が現実の選択肢として議論のテーブルに上がっている。
👨‍🌾 農業の深刻な現状
農業従事者の高齢化率83%(65歳以上)。農作業死亡事故は建設業の約3倍の発生率。広大な1,246㎢の面積に農地が分散し、単独作業・傾斜地作業が常態化。これは全国でも最も過酷な農業条件の一つ。
🏙 ブランドの「核」がない
「庄原市=○○」という市民・市外の双方が共有できるブランドの核がいまだ定まっていない。市民の愛着度は10年前より低下。観光地としての認知度も低水準のまま。インナーブランディングの欠如が最大の課題として浮上した。
🏔 観光資源は「点」のまま
比婆山・帝釈峡・映画ロケ地・たたら製鉄遺産・城山群など豊富な資源があるにもかかわらず、それらが「面」としてつながれず個別の「点」にとどまっている。帝釈峡雄橋の通行止め長期化がさらなる打撃に。
⚛ 原発避難の現実的課題
島根原発事故時に庄原市が受け入れる最大人数は6,583名。複合災害(豪雪・土砂・原発の同時発生)への対応可能性に疑問が呈されたが、「マニュアルに沿って全力を尽くす」以上の回答は得られなかった。
💙 孤独孤立・福祉の構造問題
単身世帯増加・高齢化の進行の中で孤独孤立対策の重要性が増しているが、令和8年度事業化の具体像は本定例会でも示されず。介護保険準備基金が億円規模に膨らんだ背景分析も求められた。
次の注目日程
令和8年9月 → 行政経営改革大綱・策定
令和8年9月末 → 芸備線 実証事業B 終了
令和8年11月 → 再構築協議会 方針案提示(鉄道 vs バス 最終局面)
令和8年度中 → 第3期観光振興計画・シティプロモーション構想 策定
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