2026年6月定例会で、堀井慎一朗議員(市民の会)は「JR芸備線再構築協議会における庄原市の姿勢」と「通学区域広域化に伴う児童生徒の安全確保」について質問しました。広島〜三次間で自治体費用負担の議論が進む中、再構築協議会の方針に波及することへの危惧を示しました。実証事業Aは費用8.3億に対し定量価値4.3億でしたが、市は「定性的価値も含め総合判断する」と表明。欠席児童の安否確認で警察連携の実例があることも確認されました。通学路の未完了対策箇所が毎年20箇所程度残る現状への改善も求め、11月の方針案提示が注目されます。
テーマ①:再構築協議会の本市姿勢・実証事業評価・費用負担問題・迂回ルートとしての価値
テーマ②:通学安否確認体制・通学路安全対策・貸し切りバスの安全管理・学校統合と移動費用
芸備線をめぐっては複数の協議の場が並行して動いている。①三次・安芸高田・広島まちづくり交通協議会(令和6年5月設立)では令和8年4月24日の第5回会議でJR西日本が広島〜三次間の機能強化策(行き違い設備新設・新型車両導入等)を提案した。費用負担は国1/3・JR1/3・自治体1/3が議論されている。②芸備線再構築協議会(特定区間:三次〜備中神代)では実証事業A(令和7年度)が終了し、令和8年度は庄原市内沿線の実証事業B(バス代替運行、9月末まで)を実施中。令和8年11月頃に再構築方針案が提示される予定。③芸備線対策協議会(広島県内4市)は各種協議会の情報を共有する枠組みとして機能している。市は「JR西日本が鉄道を維持していくことが持続可能性が高い」という立場を維持しながら、広域鉄道ネットワークの意義を訴えている。通学安全については、庄原市通学路安全推進会議が策定する通学路交通安全プログラムで3年に1度の合同点検を実施。令和8年5月の福島県の部活動事故を受け、スポーツ庁・文化庁・文部科学省から安全確保の通知があり、市でも再徹底した。
堀井議員は三次・安芸高田・広島まちづくり交通協議会の議事録を精読した上で、自治体費用負担の議論が「すでに行われている」状況を指摘し、その流れが再構築協議会の方針形成に波及する危惧を示した。実証事業Aの結果(費用8.3億円 vs 定量価値4.3億円)について、この数字だけを見ると「バス転換止むなし」という空気になっているとし、市の評価・分析の立場を確認した。迂回ルートの議論では、阪神・淡路大震災時に大阪から新見経由・伯備線で広島に帰ってきた自身の経験を引用し、芸備線を失うことのリスクを訴えた。東日本大震災でも日本海ルートで物資が運ばれた事例にも言及した。通学安全については、平成27〜令和5年度の通学路安全プログラム実績を調査し、毎年度20箇所程度の未完了箇所が継続していることを指摘。学校統合により徒歩で行けた地域活動・校外学習がバス移動に変わり、移動機会と予算の必要性が増していることを確認した。
堀井議員が市に求めた内容は次の通りである。①広島〜三次間の費用負担議論が特定区間の再構築協議会に与える影響への見解と、庄原市としての明確なスタンスの維持。②実証事業Aの結果を数字のみで評価せず、地域消費の伸び代・定性的価値も含めた多角的評価の継続。③インバウンドや観光立国政策の観点から芸備線を「一区間の議論」でなく国・県を巻き込んだ大きな枠組みで訴えること。④沿線自治体間の連携を再構築協議会の場だけでなく日常的な複数のテーブルで深めること。⑤通学路の未完了箇所の優先的・継続的な整備と予算確保。⑥学校統合による移動機会増加に対応した校外学習予算の確保(「予算がないから実施できなかった」がないようにすること)。
実証事業Aの評価をめぐる場面が最も核心的だった。堀井議員が「これだけ頑張ってもやっぱり赤字だったというような感想を持たれている方も多い」とリアルな市民感覚を示しながら、「どうしてもバス転換に進んでいってしまうのではないか」と迫った。地域交通課長は「そのような理解で間違いないか」という確認質問に「データとファクトに基づいた議論の考えは変わっていない」と答えたが、「ズバっとは答えていただけなかった」と堀井議員が自己評価する場面があった。また、前日の國利議員の答弁(迂回ルートをJRが想定していない)について「なぜか?」と掘り下げ、市民部長から「10両超の貨物列車には橋梁強度が不足している」という具体的説明を引き出したことも重要な場面であった。
【回答】
芸備線費用負担:「JRが負担するのが本来。現実的な協議も見据えながら総合的に構成員で協議する」。実証A評価:「定量的数値だけでなく定性的価値も含めた総合判断。9月末の実証B結果も踏まえ比較検討する」。11月方針案:「鉄道とバスの経済効果比較・初期費用・運行経費・自治体負担・定性価値等を踏まえた論点整理を行う」。国土強靱化:「鉄道ネットワークの優位性は認識。国・県への支援拡充要望を継続する」。通学路整備:「令和8年度分は概ね施工中。継続的に進捗管理を行う」。
【今後の対応】
令和8年9月末に実証Bが終了し、その後に鉄道vsバスの経済効果比較・定性的価値評価を含めた総合分析が行われる。令和8年11月頃に再構築協議会から方針案が提示される。通学路安全については年1回の状況把握とPDCAサイクルを継続し、3年に1度の合同点検を次回も実施する。
【最終的な市のスタンス】
芸備線については「JRが維持するのが本来」という立場を崩さず、定性的価値・地域の絆・国土強靱化の観点を積極的に主張する方針を維持した。一方で費用負担の現実的議論が進んでいることも認識しており、11月の方針案に向けた議論が焦点となる。通学安全については制度・体制の整備は進んでいるものの、通学路の未完了箇所が毎年残る構造的課題への予算配分が引き続き問われる。